病院やクリニックなどの医療機関を経営している方の中には、次のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「顧問弁護士を雇った方がよいのだろうか」
「顧問弁護士は何をしてくれるのか」
「顧問弁護士と契約することに、どんなメリットがあるのか」
結論からいいますと、医療機関では患者様の生命や身体の健康を扱う業務を取り扱っているだけに、深刻な法的トラブルに巻き込まれるリスクを日々、抱えています。したがって、医療関連業こそ、顧問弁護士による法的サポートを受ける必要性が高いといえます。
今回は、札幌で医療機関を営む方のために、顧問弁護士の役割や顧問弁護士と契約するメリットなどについてご説明します。
病院やクリニックでよくあるトラブル
まず、病院やクリニックで、どのようなトラブルが起こりやすいのかをみていきましょう。
医療過誤をめぐるトラブル
医師も人間である以上、医療過誤が発生するリスクを常に抱えています。明確なミスがなくても、治療の結果に不満を抱いた感謝やその家族が、医師の誤診や説明不足を主張するケースは少なくありません。
損害賠償を請求されると裁判にまで発展することもあり、場合によっては多大な経済的損失を被ることもあります。
患者や家族からのクレーム
医療過誤に該当しないケースであっても、医師や看護師の患者に対する態度や、待ち時間、医療費などをめぐるクレームが寄せられることは多いものです。
たとえ理不尽なクレームであっても、適切に対応しなければSNSで悪評を拡散されるなどして、病院・クリニックの社会的信用を損ねることにもなりかねません。
医療費の未払い
治療を受けても医療費を支払わない患者は、決して少なくありません。健康保険で大部分がまかなわれるとしても、医療費の未払いを放置すると病院・クリニックの経営に支障をきたすことでしょう。
未払いの医療費を回収するためには、法的な対応を要することも少なくありません。
従業員との労務トラブル
医師や看護師、事務職員などを雇用していれば、労働時間の規制や未払い給与、休暇、セクハラ・パワハラなどのハラスメント、解雇など、さまざまな労働問題が生じるおそれがあります。
当然のことですが、医療機関においても従業員を雇用している以上は、労働関係法令を遵守しなければなりません。
取引先との契約トラブル
医療機関においても、医療機器や医薬品などの購入やリース、業務委託などで、さまざまな取引先を抱えていることでしょう。このような取引先との間で、当事者双方の認識の相違や契約書の不備などにより、契約内容に関するトラブルが発生することもあります。
病院やクリニック業界の概況
札幌市をはじめとする北海道では、高齢化の進展に伴い医療の需要が増加している一方で、医師や看護師の人手不足が生じており、医療関連業界を取りまく経営環境は厳しくなりつつあります。
また、電子カルテをはじめとする医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が普及しつつあることから、個人情報の保護やサイバーセキュリティの強化など、ITに関する対応も急務となっています。
さらに、医療機関に対する法規制も厳しいものになりつつあり、医療法や労働法、個人情報保護法などをはじめとして、多種多様な法律を正しく理解して遵守しなければなりません。
このように、病院やクリニック業界においては、院内の人員のみでは対応しきれない問題が続出しています。法的な問題については顧問弁護士のサポートを活用することが有効です。
札幌市内の医療機関を概観するに、大規模な病院は顧問弁護士を抱えているところがほとんどです。しかし、規模が小さくなるにつれて顧問弁護士と契約している割合は減少し、個人で経営している病院やクリニックでは、顧問弁護士と契約しているところは少数のようです。
病院やクリニックでのトラブルを弁護士に依頼するメリット
病院やクリニックでのトラブルを弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットは、以下のとおりです。
本来の業務に専念できる
法的な対応を法律の専門家である弁護士に任せることにより、経営者や院内のスタッフは本来の業務に専念できます。
業務の効率化に役立ちますし、何よりも質の高い医療を提供することに役立つことでしょう。
トラブルを未然に防止できる
顧問弁護士と契約すれば、法的な問題点や、その改善策などを早期に伝えてもらうことができますので、トラブルの未然防止につながります。
トラブルは未然に防止することに越したことはありません。
早期解決により損失を最小限に抑えることができる
トラブルが発生した場合でも、弁護士が介入することによって感情的な対立を回避し、穏便な話し合いによる早期解決を図りやすくなります。
顧問弁護士と契約していれば優先的に対応してもらえますので、より早期の解決が期待できます。
訴訟への対応を任せられる
万が一、訴訟に発展した場合には、裁判所における複雑な手続きを弁護士に一任することが可能です。こじれた問題でも、法律の専門家に法的手続きを任せることで適正な解決を図ることができます。
病院・クリニックの社会的信用を高めることができる
その他にも、普段から顧問弁護士の法的なアドバイスを受けることにより、法令を遵守した運営体制を整えることができます。
こうすることで病院・クリニックの社会的信用を高めることができ、経営状況の改善にもつながることでしょう。
病院やクリニックでの顧問弁護士の役割
病院やクリニックにおける顧問弁護士の具体的な役割は、以下のとおりです。
契約書のリーガルチェック
顧問弁護士の主な業務の一つとして、契約書のリーガルチェックがあります。
リーガルチェックとは、取引先と交わす契約書について法的な観点から問題がないかをチェックすることです。
契約内容が法令に違反していないか、こちらに不利な内容となっていないかなどについて事前にチェックを受けることにより、トラブルの未然防止につながります。
患者とのトラブルへの対応
患者やその家族からクレームを受けた場合や、医療過誤が発生した場合などは、顧問弁護士が病院・クリニック側の代理人として対応します。
基本的には迅速かつ穏便な解決を目指しますが、事案の内容によっては訴訟などの法的手続きによって適正な解決を図ることもあります。
労働問題への対応
雇用しているスタッフとの間で労働問題が発生した場合も、顧問弁護士は病院・クリニック側の代理人として対応します。
患者とのトラブルの場合と同様、事案の内容に応じて最善の方法で解決を図ってもらうことができます。
債権回収
医療費の未払いという悩ましい問題も、顧問弁護士に解決を委ねることが可能です。
基本的には相手方との話し合いによる任意の回収を目指しますが、場合によっては支払督促や訴訟などの法的措置も視野に入れて、迅速に回収を図ってもらえます。
コンプライアンス体制の整備
院内のコンプライアンス体制を整備するためには、各種規程やマニュアルの作成、ハラスメント防止指針の作成、内部通報制度の整備、従業員教育の実施、さらには監視や定期的な見直しなど、多種多様な作業を要します。
これらの作業には専門的で幅広い法的知識も要求されますが、顧問弁護士がいれば、全般的にサポートしてもらえます。
行政手続きへの対応や医療法関連の相談
保健所の立入検査や行政指導などの問題が生じた場合にも、顧問弁護士がサポートしてくれますので、適切に対応することが可能となります。
また、顧問弁護士には、さまざまな法律問題について気軽に相談することができます。法律はたびたび改正されるものですが、顧問弁護士がいれば適宜アドバイスが受けられますので、安心できるでしょう。
その他に、経営者や従業員のプライベートな法的問題についても相談することができます。
病院やクリニックのトラブルを放置するリスク
トラブルを放置すると、以下のように深刻なリスクを抱えるおそれがあります。
経済的損失
患者とのトラブルや従業員とのトラブルで損害賠償を請求され、穏便に解決することができなければ、多大な経済的損失を受けるおそれがあります。
口コミなどによる風評被害
近年では、医療機関に対する不満を持った患者やその家族が、SNSなどで悪評を拡散するケースが数多く見受けられます。
たとえ事実とは異なる情報であっても、悪評が広まってしまうと、委員の社会的信用が低下してしまいます。
従業員の離職やモチベーション低下
長時間労働や給与の未払い、各種ハラスメント問題などを放置していると職場環境が悪化し、従業員のモチベーションが低下してしまいます。離職が相次ぐおそれもあります。
このような状況が進めば人材確保が困難となり、医院の運営に支障をきたすことにもなりかねません。
行政処分を受けるリスクの増大
トラブルを早期に解決すればダメージを最小限に抑えることができますが、法令違反のトラブルを放置していると、勧告や是正命令などの行政処分を受けるリスクも出てきます。
事案の内容によっては、業務停止命令や閉鎖命令などを受け、医院の存続が危ぶまれることもあるでしょう。
病院やクリニックでの予防法務の重要性
予防法務とは、法的トラブルが発生してから対処するのではなく、未然に防止するための取り組みのことです。
医療機関では、患者の生命や身体の健康を預かる業務を取り扱っていることや、従業員との関係が密接である場合が多いことなどから、ひとたびトラブルが発生してしまうと、深刻な問題に発展しがちです。
大規模な医療機関では法務部を設置して予防法務を実施しているところもありますが、中小規模の医療機関で法務部を備えているところは少数でしょう。
そのため、顧問弁護士を活用して法的トラブルの予防に努めることは、極めて重要といえます。
病院・クリニックの企業トラブルは当事務所にご相談ください
すがの総合法律事務所では、札幌での企業法務を重点的に手がけており、豊富な実績を有しております。
特に、中小規模の病院やクリニックで法務部を設ける余裕ない場合は、顧問弁護士のご活用をおすすめします。
トラブルが発生したときにだけスポット的に弁護士へ依頼するよりも、顧問契約を結んで予防法務を進めておくことが、医院の円滑な運営にも役立つはずです。
顧問弁護士に関心をお持ちの病院やクリニックの経営者や担当者の方は、お気軽に当事務所へご相談ください。
Last Updated on 2025年12月17日 by kigyou-sugano-law

