「不動産の購入を検討しているが、注意すべき契約のポイントがわからない」
「購入してすぐに欠陥が見つかってしまった」
「想像をしていた物件と実際の物件とに大きな乖離があり、困っている」
不動産の売買は取引額が高額であるため、慎重に契約を結ぶ必要があります。不動産の取引の場合、契約書を作成するのが一般的ですが、契約書を作成するといっても、どの点に注意しなければならないのか、ポイントがわからないというのが普通ではないでしょうか。法的な専門知識が無ければ、事前に確認しておかなくてはならないポイントがわからず、後々大きな不利益をこうむってしまうおそれがあります。一度契約を結んでしまうと、解約するのが難しい場合があります。
以下、不動産売買契約のポイントを解説します。
代金の支払・物件の引渡し・移転登記の時期
売買代金を期限まで遅れずに用意して支払うため、その支払い時期を明確にしておく必要があります。
契約締結後、代金支払いと不動産引渡し・移転登記の手続きを決済日に行うことが一般的ですので、代金の支払い日となる決済日までに資金を準備することになります。
手付金について
不動産の売買では、契約締結の際、手付金として売買代金の一部を支払うことがあります。一般的には、売買代金額の10%程度です。
手付金には、売買契約が成立した証拠としての役割があります。また、それだけではなく、買主が手付金を放棄する、または売主が手付金の2倍の額を支払うことで、売買契約を解除できるという解約手付の役割もあります。
もっとも、いつまでも解除できるわけではなく、契約条項では「相手方が本契約の履行に着手する前」までに手付解除ができると記載されることが一般的です。
境界の明示
土地の売買では、通常、売主が引渡しまでに、買主に対して土地の境界を明示する必要があります。
そこで、売主としては、隣地の所有者との間で、土地の正確な面積を測量するとともに、隣地との境界を確認する作業を行います。
また、境界について隣地との間で争いがある場合等、境界の明示ができないのであれば、不動産業者と買主にその事情を説明し、取引内容について協議することになります。
土地面積と売買代金の関係
土地の売買代金を決める際、登記記録上の面積をもとに確定する方式(公簿売買)と、実測した面積によって確定させる方式(実測売買)とがあります。
公簿売買の場合は、登記記録の面積と実測面積が食い違う可能性があるので、食い違う場合の代金の差額をどのように清算するか(または清算しない)を契約書に記載します。
契約不適合責任
不動産を引き渡した後、地面の下にコンクリートのがれきや杭などが埋設されていた、建物に雨漏りがあったなど、売買時に分からなかった欠陥が出てくることがあります。
このような場合、買主は、売主に対し、その内容に応じて、欠陥を修繕してもらう(追完請求)、代金を減額してもらう(代金減額請求)、損害賠償の請求、契約の解除の請求ができます。この売主の責任を「契約不適合責任」といいます。以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。
これは売主にとって重い責任なので、契約不適合責任の範囲を限定する特約がなされることがあります。
売主も買主も、契約の際、売主が負担する契約不適合責任の範囲を理解して契約する必要があります。
なお、宅建業者が売主として業者以外の買主に売却する場合は、民法の規定よりも買主に不利な特約をすることはできず、そのような特約を定めたとしても無効となります。
固定資産税等の取り決め
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に納税義務がありますので、売主は、売買を行った年度も税金を納付します。
もっとも、決済日以降に相当する税額は買主が負担することが公平ですので、決済日以降の税額相当分を計算して、買主が売主にその分を決済日に支払うことが多いです。
契約の際、特に売主は固定資産税等の清算の取り決めを忘れずに行う必要があります。
ローンの特約
例えば、買主が住宅ローンを利用して物件を購入する場合は、金融機関から融資が受けられなかった場合に資金調達で危機亡くなるので、その場合の処理の取決めをします。
契約を解除・失効し白紙に戻した上で、売主が受取った手付金は無利息で買主に返還する、との特約がなされることが通常です。
不動産売買に関する問題を弁護士に依頼するメリット
以上は、不動産売買におけるポイントをご説明しましたが、これ以外にも、個別の契約の際にはケースごとに異なるポイントがあります。
不動産売買は取引額が大きく、不十分な契約を締結してしまうと多大な不利益が生じますので、弁護士にご相談することをお奨めいたします。
Last Updated on 2023年2月8日 by kigyou-sugano-law