不動産賃貸契約について弁護士が解説

はじめに

「理由もなく突然賃料の値上げを告げられて困っている」
「契約が終了した賃貸不動産物件の修繕費用を求められている」
「借主が何ヶ月も賃料の支払に応じてくれない」

不動産の賃貸契約は売買取引と比較をすると取引金額が少ない分、契約時の段階でトラブルが起こるリスクを十分検討していないケースが見受けられます。

契約条件の確認をおろそかにしてしまうと、貸主・借主それぞれにとって多大な不利益をこうむるおそれがあります。

契約を結ぶ際にも、ポイントがわからないため、問題が発生して初めてその欠陥に気付かされるということが良くあります。

ここでは、事業用の建物賃貸借契約を例に、そのポイントをご説明します。

不動産賃貸契約における物件の選定

法令上の制限を受けないかを検討する必要があります。業種によっては、都市計画法の用途地域の制限や、風営法、建築基準法、消防法などの規制を受けることもあるので、法令の規制等を確認しておくべきです。

不動産賃貸契約における使用目的

営業のための事務所・店舗の賃貸借契約の場合、建物の使用目的について、特定の業種を営むことに限定されることが多いです。

賃借人が、賃貸借契約書とは異なる目的で使用すれば、用法遵守義務違反の問題が発生しますので、契約後にトラブルが生じないように、具体的な利用方法を確認した上で、契約を行う必要があります。

不動産賃貸契約における賃料等の問題

賃料はもちろん、共益費、光熱費、賃料を滞納したときの遅延損害金などについて、明確にしておくことでトラブルが起きないようにしましょう。

なお、居住用の賃貸借とは異なり、事業用の賃貸借場合は賃料に消費税がかかります。

不動産賃貸契約における契約形態と期間

大きく分けて、「普通建物賃貸借契約」「定期建物賃貸借契約」の2種類があります。

普通建物賃貸借契約の場合は、借主からの解約の申出や、当事者双方で合意しての契約終了、建物老朽化などの正当な理由がない限り、契約が更新されることになります。

定期建物賃貸借契約の場合は、契約期間満了時に契約が終了となります。ただし貸主は借主に対して、契約満了の1年前から6か月前までの間に、終了を通知する必要があります。

また、定期建物賃貸借契約の場合には基本的には中途解約の規定がないので、借主は契約期間の途中で物件を使用する必要がなくなったとしても、契約期間の終了までの賃料を支払わなければなりません。

不動産賃貸契約における解約予告

普通建物賃貸借契約の場合、賃借人が中途解約することが可能ですが、いつまでに解約の通知を行えばよいかを決めておくことになります。居住用の場合は1か月とされていることが一般的ですが、事業用の場合、6か月前や3か月前に退去することを伝えなければならないとされていることが多いです。

不動産賃貸契約における退去時の原状回復

居抜き(前の借主の内装等を引き継いで借りる)で借りた場合、退去時に造作物を撤去しなければならないのか、スケルトン(建物の壁・柱・天井のみの状態)で借りた場合に退去時に再度スケルトン状態に戻すのかどうか、造作物の買取の請求が可能かなど、退去時の原状回復に関する取り決めを確認して契約書を作成すべきです。

不動産にまつわる問題は弁護士にご相談ください

賃貸契約におけるトラブルを防ぐためには、内容をしっかりと理解した上で、契約を結ぶ必要があります。トラブルを未然に回避するためにも法的な知識に基づいた契約書の作成は欠かすことができません。

また、契約期間満了時に発生する契約の手続きや解約の申し入れ、賃料の改訂や敷金の返還など、賃貸契約にまつわるあらゆる問題に対して、然るべき対応を取る必要があります。これらの判断を慎重に行うためには法律の専門的な知識を要するので、適切なアドバイスを受けることが賢明です。

弁護士に依頼をすることで、契約書の作成から条項の確認、条件の調整など、トラブルを未然に防ぐためのアドバイスを致します。また、万が一トラブルが発生した際にも、相手側との交渉や利害関係の調整を代理で行うことが可能です。

不動産に関わる契約は取引額が大きい分、より慎重で適切な判断が求められますので、弁護士にご相談することをお奨めいたします。

Last Updated on 2023年2月8日 by kigyou-sugano-law

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