契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いについて弁護士が解説

契約不適合責任と瑕疵担保責任

契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、売主が買主に対して、売買契約に従った商品を提供する責任を指します。売主が提供する商品が契約に基づく状態にない場合(例えば、欠陥がある、約束された機能を果たさない等)、売主はその不適合を負います。

売主は、商品が契約通りの状態にないことを知らなかった場合でも、この責任を問われることがあります。商品が契約に適合しているか否かの判断は、商品が買主に引き渡された時点で行われます。

契約不適合責任と瑕疵担保責任の違いについて

瑕疵担保責任では、売主に責任を問えるのは「隠れた瑕疵(欠陥)」とされていました。契約不適合責任では、欠陥が隠れていたかどうかは関係なく、「契約内容に適合しているかどうか」が問題にされます。

契約不適合責任についての対処法

契約不適合責任を問う場合、以下の選択肢が一般的に考えられます。

1 履行の追完請求

 買主は売主に対し、商品の修補を請求することができます。また、代替履行(代わりになる同等の商品を提供する)を請求することもできます。

 なお、買主から修補請求があったとしても、買主に不相当な負担を課するものでなければ、売主は買主に代わりの商品を引き渡すことで追完することができます。

2 代金減額請求

 買主が売主に対し、相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます。

 なお、追完が不能の場合など、一定の場合には催告なしで直ちに代金減額請求が可能です。

3 損害賠償請求

 契約不適合がある場合、買主は履行の追完請求や代金減額請求が可能ですが、それによって債務不履行による損害賠償請求をすることは妨げられません。

4 契約の解除

 契約不適合がある場合、買主は債務不履行による契約の解除を請求することも可能です。この場合は解除の要件を満たす必要があるので、例えば、催告解除の場合は不適合が軽微であるときは解除できない、などの制限があります。

これらの選択肢は、商品の性質や不適合の度合い、そして売買の状況により異なる結果をもたらします。具体的な対応は、専門家に相談することを推奨します。

契約不適合責任が請求できる期間

売主が契約不適合の商品を買主に引き渡した場合でも、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、 契約不適合責任を追及できなくなります。

なお、取引が事業者や会社などの商人間で行われるときは、買主が検査で不適合を知ったら不適合について売主に直ちに通知をしないと、責任追及ができなくなります。さらに、商人間では検査で直ちに発見できない不適合でも、買主が納品後6か月以内に発見し、不適合について直ちに通知をしないと、責任追及ができなくなります。

以上の期間制限には注意が必要です。

契約不適合責任に関する契約書での注意点

契約不適合責任については、取引の実情に合わせて、当事者間で協議して契約書で規定することが重要です。以下、弁護士が推奨する契約書作成での注意点をいくつか挙げてみます。

商品の詳細

契約書には商品の詳細な情報を明確に記載することが必要です。これにより、売主と買主が互いの期待を明確にし、後に不適合が生じる可能性を減らすことができます。

保証条項

商品の品質や性能についての保証を明示的に記載し、どのような状況で保証が適用されるかを明確にすることが重要です。

責任の範囲

不適合責任が生じた場合の対処法(修補、代替履行、契約解除、代金減額等)と、それに伴う費用の負担者を明確に定める必要があります。契約不適合責任に関する条項が契約書に記載されていない場合には、法律の規定どおりの処理になりますが、契約書上で責任の内容を明記しておくと、取引当事者の理解を高め、トラブルの可能性が減少するでしょう。

紛争解決手段

不適合による紛争が生じた場合の解決手段を記載することも重要です。訴訟、調停、または仲裁等の紛争解決手段を明記し、事前に合意を形成することが推奨されます。

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まずは弁護士にご相談ください

契約不適合責任や瑕疵担保責任は、契約における重要なポイントであり、適切な理解と対応が求められます。それぞれの責任がどのように発生し、どのように対処すべきかという点は、商品の性質や具体的な状況により大きく変わるため、専門的なアドバイスが必要です。

契約書作成の際や、契約不適合責任や瑕疵担保責任について問題が生じた場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、具体的な状況を理解した上で、最善の対策を提案することができます。

以上、契約不適合責任と瑕疵担保責任について、その違いや注意点、対応方法について解説しました。契約は双方の利益を守るための重要な手段であり、適切な理解と対処が必要です。何か問題が生じた場合は、専門家に相談することを忘れないでください。

Last Updated on 2023年8月28日 by kigyou-sugano-law

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