飲食店の定期賃貸借契約の注意点とは?弁護士が解説

飲食店の定期賃貸借契約の注意点とは?弁護士が解説

①定期賃貸借契約とは

定期賃貸借契約とは、土地や建物を一定の期間、借りる契約のことを指します。賃貸借契約期間が明確に決まっており、原則として期間中は解約できない特徴があります。飲食店が物件を借りる際、この契約形態になっていることがあります。

一般の賃貸物件に比べて、敷金・礼金・賃料などが低く設定されている場合が多いです。

②定期賃貸借契約の特徴

定期賃貸借契約は、一般的な賃貸借契約とは異なり、賃貸期間が明確に定められており、原則として期間中の解約が不可能な点が特徴です。そのため、契約書には「定期賃貸借契約」と明記されているはずです。また、契約期間の開始日と終了日もはっきりと記されています。

定期賃貸借契約には有効に成立するための要件があります。一つは、契約が書面でなされていることです(借地借家法38条1項)。もう一つは、定期借家契約を締結する際に、賃貸人が賃借人に、「当該契約について更新がなく、期間の満了によって終了すること」を、その旨を記載した書面を交付して事前に説明しなければなりません(借地借家法38条3項)。この事前説明がないと、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となります(同条5項)。

また、定期借家契約では、期間満了に備えて賃借人が代わりの物件を探したり、再契約の交渉をしたりする必要があるため、契約終了には貸主から借主への事前通知をすることが法律で決められています。貸主が事前通知しないと、借主は契約期間経過後も物件を利用でき、貸主は契約の終了を主張できなくなります。

③気を付けるべきこと

飲食店の定期賃貸借契約では、以下のような点に気を付けるべきです。

経営状況の悪化による契約期間中の解約

定期借家契約は、原則として、契約期間中に中途解約することができません。

経営状況が悪化して売り上げが大きく減少したからといって、契約を解約することはできないのです。

居住用建物の場合は一定の条件で中途解約可能ですが、飲食店舗のような事業用建物の場合ですと、中途解約を可能にするためには、中途解約に関する特約を設けておかなければなりません。中途解約の場合の違約金が定められているケースもよくあります。

契約を結ぶ前に、以上の点を明確に確認することが大切です。

更新時の賃料上昇

定期借家契約には更新がないため、契約期間が終了すればそれ以上は物件を使用することができなくなります。

しかし、貸主と借主の双方が合意していれば再契約は可能です。その際には、更新時の経済状況や、飲食店側が店舗を継続使用する必要性などを踏まえ、更新の条件が交渉されることになります。

大家側からは、敷金、礼金、保証金の追加支払いや賃料の増額などが条件として提示されることがあります。借りている飲食店側としても、更新時にこのような条件交渉があり得ることを覚悟しておく必要があります。

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④飲食店におけるトラブルは弁護士にご相談ください

定期賃貸借契約には多くの法的な注意点があります。また、契約期間中に飲食店の経営状況が変化すると、さまざまな問題が発生する可能性があります。そのような場合には、弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士は、法的な観点から最適な対応をアドバイスすることができます。

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Last Updated on 2023年7月17日 by kigyou-sugano-law

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