はじめに
企業運営において、さまざまな問題に直面します。対外的な法的トラブルもございますが、中でも、従業員の不正行為は大きな大きなトラブルに発展します。上場企業の場合は株価の低下にも繋がりかねません。
本記事では、弁護士の視点から、横領を行う従業員とその対処方法について詳しく解説します。
従業員の横領行為について
従業員が横領を行うとは、従業員が自己の利益のために、会社の資産を不正に取得する行為を指します。具体的には、会社の資金を不正に着服したり、備品を私的に利用したりすることが該当します。
横領は刑法上の犯罪であり、罰則の対象となります(刑法第253条:業務上横領罪、10年以下の懲役)。会社が被る損害は金銭的なものだけでなく、組織の信用失墜や社員間の信頼関係の破綻といった、計り知れない影響を及ぼす可能性があります。
従業員の横領を放置する会社側にとってのリスク
会社が従業員の横領を放置すると、以下のようなリスクが考えられます:
金銭的な損失:横領行為により、会社は直接的な金銭的な損失を被ります。
社員間の信頼関係の破綻:横領行為が露見した場合、社員間の信頼関係が破綻し、職場の雰囲気が悪化する可能性があります。
企業イメージの低下:横領が外部に露見した場合、企業の信頼性やイメージが大きく低下します。
これらのリスクは、企業の存続に大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、横領行為は早期に発見し、適切に対処することが求められます。
従業員が会社のお金を横領した場合の対処法について
会社の財産を横領した従業員に対して、以下のような対処法が考えられます。
内部調査:疑惑が持たれた段階で、内部調査を行ったうえで事実関係を確認します。その際、詳細な記録を残すことで、その後に証拠として活用することが可能です。
従業員への懲戒処分:横領が確認された場合、解雇などの厳重な処分を下すことが考えられます。ただし、解雇は厳格に審査されるため、解雇の適正性を裏付ける十分な証拠が必要です。
刑事告訴:横領は犯罪行為であるため、捜査機関に告訴し、刑事責任を問うことも可能です。もっとも、捜査機関が刑事事件として立件するかどうかは事案によりますので、必ず刑事処分がなされるわけではありません。
損害賠償請求:従業員に対して、横領により被った損害の賠償を求めることが可能です。まずは示談の話し合いをすることが一般的ですが、従業員側が示談に応じない場合は、裁判所に訴訟提起する手段もあり得ます。
問題社員対応については弁護士にご相談ください
問題社員の対応は、法的な観点から適切に行う必要があります。対処方法は具体的な状況や証拠により異なりますので、専門家に相談することをお勧めします。
弁護士は、法的な観点から問題の解決をサポートします。具体的には、内部調査の方法、懲戒処分の適切さ、刑事告訴の有無、損害賠償請求の可能性などについてアドバイスを提供します。また、訴訟が必要となった場合には、裁判を通じて会社の利益を守るためのサポートを提供します。
従業員の横領は企業にとって深刻な問題です。早期発見と適切な対応が求められますが、法的な視点からも適切に対応することが重要です。顧問弁護士のご契約をいただくと、トラブルを最小限に抑え、経営のサポートを行うことが可能です。問題が発生した際は、適切なアドバイスを受けるために弁護士にご相談ください。
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Last Updated on 2023年8月6日 by kigyou-sugano-law